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2024/02/13

母が長く泊まりにきている。
私が泊まりにいくことはあっても泊まりにくるのは珍しいというか初めて。

買い物もご飯も一緒に行く。

一通りの買い出しを終え、結構な量であるけど当然に全部私が持つと、「半分ずつ持とう!」と言って返事も待たないまま荷物を取る母。

半分ずつ。

聞き慣れないその「半分ずつ」という感覚が私にないことに気付いた。

相手が誰であるかによって自分が変わる。
自然とそうなるのか演じているのかの境界線は自分でもはっきりは分かってない。
誠実であろうとすればするほど「相手が誰であっても同じ自分」からは遠ざかる。

そしてそのどの関係にも何かを「半分ずつ」って感覚がない。

あげるか、貰うか。
持つか、持たれるか。

母にはお姉さんがいて、仲の良い姿を昔からよく見てた。
どこ行くにも悩むのも選ぶのも何をするにも一緒。
兄弟のいない私にとってそれは不思議な光景であり、おそらく理解できるものではないだろうと幼い頃から感じていた。

でもなんとなく、母から向けられたその言葉に「半分こ」が自然にできる関係を教わった気がした。

母は母のまま、
娘は娘のまま、
関係は変わっていくのだと感じながら荷物を半分こして帰った。