2025/05/15
自分の公演、来場してくれたお客様の多くが涙してくれた公演があって、
聴く側と演奏する側の心が共に共鳴した証のように思えて、嬉しくて人に話したことがある。
するとその人はこう言った。
「人を泣かせるよりも体を揺らさせる方が難しいんだよ」
ははーん。
確かに私のライブで揺れてる人ってあんまりいない。
硬直してる人の方が殆ど。
言葉やその日だけにか出てこないものに全集中しているからだと思う。
じゃあ、揺れさせるってどんな状態だろう。
気持ちいいグルーブ、高揚させるようなサウンド、演奏力と魅せ方とかかなぁ。
先日、お誘いいただいたライブにお邪魔させてもらった。
インスト演奏でのワンマン。
客席の誰もが身体を揺らして、超幸せそうな顔で楽しんでいた。
私は思った。
「これが身体を揺らさせる音楽!」
平日遅めの夜に関わらず、こっくりこっくりしてる人なんて1人もいない。
ステージを食い入るように観ている人しかいなかった。
私が好きなアニメをリアルタイムで視聴したいが為に放送時間テレビに張り付いてた時みたいに。
きっとステージから見た客席も幸せ絵図のような景色のはず。
演奏も素晴らしかった、楽しかった。
しかし。
私の隣にいた方は、気持ちよくなりすぎて演奏に合わせてタップダンスを始めた。
客席にダンサー仕込んでるのかと思った。
多少周りにぶつかってもお構いなし。
私は自分の持ってた荷物に突進されるのを避けたくて前に抱えて持ち直した。
その反対側にいた方は、垂直跳びしまくっている。
そう、音楽を自由に楽しむ、ってこれもそのひとつだ。
でも、私はどんなにテンション上がってもタップダンスはしないし、垂直跳びもしない。ベロベロだったらするかもだけど。
この私のスタイルもまた、自由に楽しむ、のひとつなんだろう。
それぞれ自由に楽しむってすんごい美しい響きじゃない?
自分の心のままに、楽しむ。
でもそれって本当にひとりひとりの自由が何通りもあるとして、それらって共存できるのかなぁ。
私は両隣りのタップダンスと垂直跳びにかなり集中力持ってかれてしまった。
それにつられて私も跳ねる!とはならなかったし。
私のライブでアゲな曲の時に垂直跳びしてる人いたら多分その場の全員その日その曲の記憶が「突然の垂直跳び」になるよな。
「それぞれ自由に楽しんでね!」って言おうともある程度その場その場での自由って形が決まってるのかもなぁって思った。
ステージに立つ側も観る側も居心地のいい空間って人それぞれだな、とも思うし、たまに異文化交流的な感じで違うもの同士が混ざったりする空間もまた面白いのかも。